明願寺の年中行事の中でも毎月開催される入門講座は、開かれた学びの場としてウエイトを置いています。さてその入門講座ですが、4月からテキストが変わります。
昨年退任された前御門主が『人生は価値ある一瞬』という本を出されました。そのパッケージには、「不安や迷いは当たり前。背伸びせずに毎日を精いっぱい生きればいい」とあります。次世代に向けたメッセージとも読めますが、それは同時に自分に対して言い聞かせてきた言葉でもありましょう。
来年は、戦後生まれが70才となる年です。振り返ってみれば「あっという間の70年」でしょうが、その「あっという間」を、今日「よかった」とうなずいて受け止めることが出来るでしょうか。傍目には「大過なく」と言ってもらえても実はうまくいかなかったことや、思い通りにならないことの方が多かったと思うのが普通でしょう。しかし同時に、その様々な出来事を今どのように味わい直すことができるのか、本当はそのことだけが大切で、しかもそれで充分なのです。
本書のまえがきにはこのような文が出てきます。
今さえよければ、自分さえよければという狭い思いを打ち砕く大切なはたらきを持った仏教を手がかりに、現代生活の様々な課題に、どう対処することができるかと考えてみました
これは何も高齢者だけに当てはまるものではなく、若者だろうが壮年だろうが同じ事です。今、私にとっての意味を明らかにすることが出来れば、そこに次の一歩を踏み出すことが出来ます。
テキストを手がかりに私にとっての次の一歩を考えるのが、来年からはじまる入門講座です。(住職記)